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青森から戻った翌日、釣った魚がトロ箱2つ分届いた。アイナメ、マゾイ、サクラマス、そしてホッケ。ホッケはもちろん干物にする。ホッケの中型は開きにするが、大型はグリルで焼きやすいよう二枚にし、塩水に漬ける。毎年作っているのだが、塩分濃度と漬け時間で迷ってしまう。ホッケは身が厚いので、なかなか塩が効かないのだ。 しかし、せっかくの自家製、しょっぱすぎるのももったいない。良い塩加減で、ホッケそのものの美味しさも堪能できなくては。だんなと相談の結果、6%(1Lの水に塩60gの割合)で、1時間半漬けることにした。塩は「瀬戸のほんじお」。塩水から引き上げた後、身の表面を手でていねいになでつける。干物づくりの本で読んだプロのコツ。たしかにこうすると、出来上がりの表面がきれいである。 ベランダに干物用の網を2つ並べ、真夜中に干しはじめる。翌日は風の冷たい晴天で、お昼過ぎには良い感じになっていた。表面は乾いていて、中はもちもちやわらかい。なかなか美しい干物ができた。あちこち親戚に配ったら、たいそう喜ばれた。 さて、塩加減はいかがか。早速その夜焼いてみた。ジュージューとすごい脂だ。黄金色に輝くホッケの表面の膜を箸で突き破ると、ほわん、と白い湯気とともに真っ白い身が現れる。ほろほろ身離れが良く崩れやすいので、お茶碗で迎えに行き、ご飯に乗せてハフハフいただく。味の濃い、旨味たっぷりのホッケ。塩加減もばっちりだ。「うーん旨い!」「こりゃたまらんねぇ」1枚の干物をだんなと仲良く分け合って食べ進む。 仲良く、とは書いたが、実はこの時すでに食卓の上には不穏な空気がたちこめている。「ぺりぺり」をめぐる戦いである。中骨の上に張り付いている薄い膜状の身を「ぺりぺり」と言う。干す前に身の表面をなでつける作業は、このぺりぺりをきれいに作るためでもあったのだ。濃い飴色の細長い膜を中骨から上手にぺりぺりっと剥がして口に運び、噛み締める喜び。燻製っぽい食感がなんともいえない。ぺりぺりには、剥がす楽しみと、食べる楽しみのふたつがあるのだ。 しかし、1匹のホッケからとれるぺりぺりは極わずか。そこで繰り広げられるのがぺりぺり争奪戦というわけだ。ほくほくの身を食べながら、いかにも「ぺりぺりはどうぞお先に」という顔をしつつ、視線で絶えず「まだまだ」とけん制する。高度な心理戦争である。 しかし、私があまりペリペリを欲しがるので、最近はだんなが「ぺりぺりは全部貴殿に進呈しよう」とあっさり折れてくれるようになった。皮をとらせて肉を食う作戦か? それとも何かの懐柔策であろうか。 以前、釣友らと「ぺりぺり」談義に萌えていると、「魚の身を全部薄く切って『全身ぺりぺり』にしたらいいんじゃないか?」という人がいた。むろん、即座に却下!である。あの少ない量を大事宝に味わって食べるのが良いんじゃないの。どんなに世の中が進歩しても、「ぺりぺり」が大量生産されて、スルメのように袋詰めされてる姿など見たくない。絶対に。
by abukamo
| 2008-04-07 16:05
| 魚料理
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